コンタクトレンズを分かりやすく表現してみよう
状況証拠ならいくつかありますので、わずかな手がかりですがそこから推測してみたいと思います。
しかし、その前にもう一度房水の「定位置」を確認してください。
房水は毛様体から眼のなかへ涌きだして、主にこの狭い空間を流れます。
お分かりのように、「できたて」の新鮮な房水はまず水晶体と接触します。
ここで物質の交換が十分に行われたあと瞳孔を通って並房へと流れていきます。
そして今度は角膜の後面に接し、最後に線維柱帯の「網目」を通ってシュレム氏管へ流れていきます。
つまり、房水に生活を依存している組織の間を効率良く移動するわけです。
ではもう一つの血管を持たない組織である硝子体はどうでしょう。
図のように硝子体は前面で房水に接しており、ここで物質の交換ができます印。
この組織は99%が水でできているのですが、生卵の白身のような性質ですので簡単には水を通しません。
したがって硝子体があるために房水は眼球の前の方の狭い場所に閉じ込められるような形になります。
そして、そのおかげで房水は、それに対する依存度がよい、水晶体、線維柱帯および角膜に効率良く接することができるのではないかと考えられます。
少し前置きが長くなりましたが、いよいよ「状況証拠」を検討してみたいと思います。
線維柱帯切除術のあとの白内障緑内障に対する手術の」つに、線維柱帯切除術というのがあります。
これは眼圧を下げる目的で、線維柱帯と虹彩の一部を切り取り、房水が眼球の外へ流れる、より抵抗の少ない道を作るものです。
この手術の後には約30%に白内障が起きるとされていま寸ツその原因はまだ分かっていませんが、本来水晶体の表面に沿って流れるべき房水のかなりの量が、水晶体に触れずに流れ出てしまうためと私は考えます。
つまり、作られる房水の量は変わらないのですが、有効に使える量が減るために水晶体に変調が生じて白内障が起きるのだと考えます。
硝子体切除術のあとの白内障糖尿病網膜症や網膜剥離などの網膜の病気で、何らかの理由で硝子体を取り除かなくてはならない場合があります。
その手術を「硝子体切除術」といいますが、この手術のあとで高率(50%以上)に白内障が進行することが知られています。
これも原因は分かっていませんが、私は房本の流れが変わる結果だと考えます。
硝子体が健全なら左の絵のように、房水は角膜と硝子体で囲まれた、狭い空間を流れるだけでよかったのですが、硝子体が除去された結果、後ろの広いスペースも満たさなければいけなくなります。
手術前には毛様体で作られた「新鮮な」房水がすぐに水晶体に接触していたのですが、手術で後ろの境が取り除かれたために拡散してしまい、水晶体に届く「新鮮な」房水は減ってしまいます。
「新鮮な房水」と、「そうでない房水」とでは、どこが違うのかといいますと、実は具体的なデータはありません。
しかし、できたばかりの房水には、細胞が排出した老廃物はなく、ブドウ糖やビタミン、アミノ酸などが豊富に含まれているものと想像されます。
水晶体はこの「きれいな言房本のほとんど全てを真っ先に受け取れる絶好の位置にあるのですが、この手術の後ではその環境が変わってしまいます。
そのため、その後に起きる白内障は、「水晶体に接する新鮮な房水の量の減少」が原因だと私は考えます。
なかなか苦しい「状況証拠」でしたが、とにかく「水晶体の回りを流れる房本の量が減れば白内障が起きる可能性がある」、ということをここでは言いたかったわけです。
では房水の量と緑内障の関係はどうなのでしょうI-次に書きます。
水晶体が動きを止めると、老眼の最終段階になると水晶体はまったく動かなく(厚みを変えなく)なります。
前にも書きましたが、この時点でも毛様筋はまだ動くことができるとされていますけそのため、ひょっとすると、水晶体さえ柔らかければ30mくらいの距離で新聞が読めるのかもしれません。
しかし、実際にはこの段階で水晶体はびくともしませんので、30mの距離に新聞を持ってきて毛様筋をいくら頑張らせても、ボケているだけで何も読めません。
毛様筋を動かす目的でわざわざピンボケ状態で新聞を見ようとする人がいるとは思えませんので、このような状況下では誰もが老眼鏡を使用するわけです(近視の人が眼鏡をはずして読むのは、正視の人が老眼鏡をかけるのと同じことです)。
すると、余力が残っているといないとにかかわらず毛様筋は動く必要がなくなります。
つまり、「老眼の最終段階では水晶体だけでなく毛様筋も動きを止める」ものとしてこのあとの話を進めていくことにします。
先ほどは、ながながと書きましたが、老眼になる前の眼では、近くを見たときには線維柱帯の目が粗くなり、より多くの房水がそこを流れます。
線維柱帯は「生きたフィ生活するために必要な物を房本から取り入れたり、不要になった物(老廃物)を持っていってもらったりしなくてはいけません。
そして、房水がたくさん流れれば、その物質交換がスムーズにできると考えられます。
汚れたシャツを少量の本で洗うより、たくさんの水で洗った方が早くきれいになるようなものです。
そして再び遠くを見るとフィルターの「目は」細かくなって旦房水の流れは遅くなります。
このとき房水は、主に後房から前房へ移動すると考えられます。
この動きを繰り返すと、房水がどんどん排出されて眼の中の水圧(眼圧)が下がるはずですが、眼圧が下がると毛様体がよりたくさんの新しい房水を作り出すとされています。
ということは、遠くを見たり近くを見たりすることで房本の入れ換え、ターンオーバーが促進されていることになります。
そして、この動きは一日何百回も繰り返されるのです。
もちろん、これは若い眼の場合です。
では、今度は最終段階の老眼の場合を考えてみましょう。
こちらの眼ではさっき書いたように毛様筋は動きません。
したがって、線維柱帯も動かずフィルターの「目」は細かいままです。
おまけに、「ポンプ」として働いていた水晶体も動きを止めたままですから房本が押されて動かされることもありません。
もちろん、「弁」と「ポンプ」の動きが止まったからといって房本の流れが完全に停止するということではありません。
房水は相変わらず毛様体が1分間に2マイクロリットルのペースで生産を続けているため、フィルターが完全に目詰まりを起こさないかぎり同じ量が排出されます。
しかし「弁」と「ポンプ」が盛んに動いてたころに比べれば、房水の流れもターンオーバーも遅くなっているはずです。
生活必需品がいつでも十分に供給され、ゴミや下水の処理も滞りなく行われている街と、そうでない街とを比べれば、どちらの住人が健康に暮らせるかは明らかでしょう。
房水の流れが悪くなって、あまり元気でなくなった線維柱帯は、ゴミが引っかかっても昔のように速やかに取り除くことができないかもしれません。
さらに、もう一つ問題があるのです。
人間の体には「いつも動いていた部分が動きを止めるとくっついて固まる」、という性質があります。
例えば骨折などで関節を長期間固定すると、ギプスをはずしたあとも動かなくなり、リハビリテーションが必要になります。
また、虹彩は対光反射と近見反射で絶えず動いていますが、この動きを目薬で長期間とめてしまうと、必ず虹彩と水晶体との間に癒着が起こります。
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